診療支援
治療

(2)ビタミンD欠乏症・過剰症・依存症
武田 英二
(専門学校健祥会学園・校長)

 ビタミンDは食物中のプロビタミンD(エルゴステロール,7-デヒドロコレステロール)として摂取され,7-デヒドロコレステロールは日光の紫外線によりプレビタミンDに変換される.ビタミンDは肝臓で25-水酸化ビタミンD(25-OHD)に,腎臓で活性型の1,25-水酸化ビタミンD〔1,25(OH)2D〕になり,ビタミンD受容体を介して小腸でのカルシウム吸収の促進,骨リモデリングの促進,腎尿細管でのカルシウムおよびリン再吸収の促進,副甲状腺ホルモン産生抑制などカルシウム・リン代謝および骨代謝を調節する.

ビタミンD欠乏症

 小児の場合はくる病,成人の場合は骨軟化症になる.さらに,体重負荷によりO脚やX脚となり,重症になると痛くて立つことができなくなる.

ビタミンD過剰症

 ビタミンDを成人で1日100,000IUを1~2か月連続投与したときに生じ,食欲不振,体重減少,尿意頻繁,嘔吐,不機嫌などが現れる.ひどくなると,各組織,特に腎臓や動脈にカルシウムが沈着して異常石灰化を起こして死亡することもある.

ビタミンD依存症

 1型の1α水酸化酵素欠損症と2型のビタミンD受容体欠損症がある.いずれも骨石灰化障害を呈するが,2型では禿頭がみられる.

 ビタミンD摂取の目安量は,成人では1日5.5μg(220IU)である.血中25-OHD濃度は,30ng/mL以上が正常,20~30ng/mL未満が不足,20ng/mL未満が欠乏とされる.

 ビタミンD欠乏症に対しては1αOHD3製剤を1日0.01~0.05μg/kg,あるいは1,25(OH)2D3製剤を1日0.02~0.1μg/kg投与する.過剰症の治療はビタミンD投与の中止,低カルシウム食,大量の水分摂取などが必要である.これらにより血中カルシウム濃度は数か月の間に徐々に正常まで低下する.

トピックス

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