ビタミンCは,水溶性ビタミンの1つで,化学的にはL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)をさす.ヒトはアスコルビン酸の生合成系を欠くため,必要量をすべて食事などから摂取する必要がある(ヒト,サル以外のほとんどの動物は,グルコースからアスコルビン酸の生合成が可能).ビタミンCは,レモン・オレンジ・グレープフルーツなどの柑橘類や柿・キウイ・トマトなどの食品に多く含まれているが,熱に弱いため加熱により破壊される.成人の摂取推奨量は100mg/日である.ビタミンCを含まない食事を2~3か月続けるとビタミンC欠乏症である壊血病を発症する.ビタミンCの生理作用はきわめて多様であるが,ここでは基盤となる3つを以下に示す.この3つの作用のほかにも生理活性を有し,抗腫瘍作用,抗アレルギー作用,抗老化作用など多様な効果が発揮されると考えられている.
➊ビタミンCの生理作用
1)コラーゲンの生合成
コラーゲンは体内の蛋白質の30%を占め,特に皮膚,血管,靱帯,骨,歯の構成成分として重要である.コラーゲン分子は,分子内に多く存在するプロリン・リジン残基が水酸化され,それぞれヒドロキシプロリン・ヒドロキシリジン残基となり,3分子のコラーゲンが螺旋状により合わさった3重鎖構造を安定化させている.ビタミンCは,この水酸化反応に必須であるため,ビタミンC欠乏時にはコラーゲン鎖の異常が起こり,皮膚,血管,骨や靱帯,歯などに障害が生じる.
2)活性酸素の除去
ビタミンCは強い還元能力をもち,スーパーオキシド,ヒドロキシラジカル,過酸化水素などの活性酸素を除去する働きがある.この反応によりビタミンC自身が酸化され,デヒドロアスコルビン酸となるが,この分子を還元し,ビタミンCを再生させるしくみが存在する.
3)ビタミンEの再生
ビタミンEは,脂質中の活性酸素を除去することにより,ビタミンEラジカルに変化する
関連リンク
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