診療支援
治療

(2)痛風
gout
市田 公美
(東京薬科大学教授・病態生理学)

疾患を疑うポイント

●高尿酸血症の男性で,母趾中足趾節関節など足部に,数時間でピークに達する激しい急性関節炎を認める場合,あるいはその既往があるとき痛風が強く疑われる.

▼定義

 高尿酸血症の持続により関節や軟部組織などに尿酸の析出・沈着が起こり,急性または慢性の関節炎を引き起こす状態を痛風という〔第13章のも参照〕.

▼病態

 高尿酸血症の持続により,関節内に尿酸塩の結晶が析出し,なんらかのきっかけにより好中球がこれを異物として貪食し,激しい炎症が起こる.この関節炎を急性痛風関節炎(痛風発作)といい,疼痛,発赤,腫脹が著しく,単関節炎がほとんどである.この関節炎は,局所の違和感(前兆)に続いて発症し,数時間単位で悪化し,24時間以内にピークに達する.発症時には,臨床検査にてCRP上昇や末梢血白血球の増加がみられることも多い.

 急性痛風関節炎は飲酒,血清尿酸値の急激な変動,過度の運動,局所の打撲や過労により誘発されやすい.母趾中足趾節(metatarsophalangeal:MTP)関節,足背,内果,外果,アキレス腱付着部や膝関節などに好発する.なかでも,母趾MTP関節が初発の急性痛風関節炎の約70%を占める.急性痛風関節炎は1~2週間程度で自然に消退するが,高尿酸血症を放置すると,当初は数年に1回,または年に数回程度にとどまっていた急性痛風関節炎が徐々に頻発するようになる.血清尿酸値が高いほど急性痛風関節炎を起こしやすい.また,母趾MTP関節周囲,膝,肘頭の皮下や耳介などにも尿酸塩結晶が沈着し,痛風結節といわれる尿酸塩結晶と肉芽組織からなる結節を形成する.長期にわたる著しい高尿酸血症の持続は,関節周囲および関節内に尿酸塩結晶が蓄積し,一部の辺縁部に硬化を伴う骨融解や骨破壊をきたすようになる.X線像においては,骨びらん,打ち抜き像(punched out lesion),覆い被さる

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