診療支援
治療

(3)ウロモジュリン関連腎疾患
uromodulin-associated kidney disease
植木 将弘
(北海道大学病院・小児科)
有賀 正
(北海道大学名誉教授)

疾患を疑うポイント

●家族性に若年から尿酸排泄低下型高尿酸血症に伴う尿酸結石や痛風性関節炎,ADTKDを発症する.

▼定義

 ウロモジュリンをコードするUMODは16番染色体短腕の16p12.3-16p13.11に位置する.UMOD遺伝子の異常により,尿酸の排泄障害による高尿酸血症と抗腎結石作用の低下による尿路結石や腎症を発症する常染色体優性(顕性)疾患である.

▼病態

 ウロモジュリンは腎臓に特異的に発現し,健常人の尿中に最も多く含まれている蛋白である.カルシウムの凝集抑制による抗腎結石作用,血圧や尿の濃縮・尿酸排泄の調整作用,自然免疫の活性化や尿路感染の予防作用などその役割は多岐にわたる.UMOD遺伝子の変異により,上記の作用が障害される.さらに変異した蛋白が小胞体内に蓄積し,小胞体ストレス反応により,二次性ミトコンドリア機能不全を生じて腎障害を引き起こす.

▼疫学

 これまでに125の遺伝子変異が報告されている.100万人あたり1.67人,透析や腎移植を必要とした患者のうち0.1%,腎疾患のうちの1%以下などの報告はある.非常にまれな疾患であり,正確な有病率は明らかではない.

▼診断

‍ UMOD遺伝子変異の浸透率はほぼ100%であり,家族性の若年性高尿酸血症とそれに伴う症状や腎症などがあれば,本疾患を疑って遺伝子検査を行い診断する.

鑑別診断疾患の除外

‍ MUC1HNF1BRENSEC61A1遺伝子の異常により常染色体優性尿細管間質性腎疾患(autosomal dominant tubulointerstitial kidney disease:ADTKD)を発症することが知られている.なお,これらの疾患は本症よりさらにまれである.

▼治療

高尿酸血症

 尿酸産生を抑制するアロプリノールやフェブキソスタット治療により,痛風性関節炎などの発作を予防する.腎症に対する効果は不明であ

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