▼定義
下垂体腺腫は最も頻度の高い(70~80%)トルコ鞍部の良性腫瘍で,下垂体前葉の細胞から発生する.腫瘍からのホルモン産生の観点から機能性(ホルモン産生)腺腫と非機能性(ホルモン非産生)腺腫に大別される.
▼病態
ホルモン産生腺腫の場合にはそれぞれ過剰に産生されたホルモンによる特有の症状(先端巨大症など)が出現する.同時に腫瘍が大きい場合には周囲組織の圧迫による機能障害(下垂体機能低下症,視交叉の圧迫による視機能の障害,頭痛など)が生じる.非機能性腺腫もホルモンの合成,分泌を全く欠くのではなく,その多くは生物学的活性をもたないゴナドトロピン(LH/FSH)を産生・分泌している.
▼疫学
下垂体腺腫は原発性脳腫瘍中3番目に多い腫瘍で,18%を占める.非機能性腺腫が45%,機能性腺腫が55%(PRL産生腺腫26%,GH産生腺腫22%,ACTH産生腺腫6%,その他の機能性腺腫2%).青壮年期から