▼定義
胚細胞腫瘍は,胎生期の原始生殖細胞(精子や卵になる前の未成熟な細胞)から発生した腫瘍の総称.
▼病態
視床下部から下垂体後葉を発生母地とする胚細胞腫瘍は,神経下垂体部胚細胞腫瘍とよばれ,尿崩症,視機能障害,汎下垂体機能低下症を三徴とするが,なかでも尿崩症はほぼ全例に認められる.血清学的および髄液の腫瘍マーカー〔AFP,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin:HCG),HCGβ,胎盤性アルカリホスファターゼ(placental alkaline phosphatase:PLAP)〕が診断や治療効果の判定に有用である.臨床的予後を反映する分類として予後良好群,中等度悪性群,高度悪性群の3型分類が多く用いられている.
▼疫学
日本を含む,アジア諸国で頻度が高く,日本では全脳腫瘍の3%,小児脳腫瘍の15%(第2位)を占めている.松果体部発生が60~7