診療支援
治療

(1)ビタミンD依存症,ビタミンD依存性くる病・骨軟化症
vitamin D dependency,vitamin D-dependent rickets/osteomalacia
福本 誠二
(徳島大学先端酵素学研究所・藤井節郎記念医科学センター特任教授)

▼定義

 ビタミンD依存症,あるいはビタミンD依存性くる病・骨軟化症は常染色体劣性遺伝疾患で,1型と2型に大別される.1型は1,25-水酸化ビタミンD産生を担う酵素をコードするCYP27B1遺伝子の不活性型変異,2型はビタミンD受容体(VDR)遺伝子の不活性型変異による疾患である〔くる病・骨軟化症については本章のを参照〕.

 常染色体劣性遺伝疾患であることから,罹患患者はこれらの遺伝子不活性型変異のホモ接合体,あるいは複合ヘテロ接合体である.ただし例外的に本症2型では,ドミナントネガティブ変異体によるヘテロ接合体の例も報告されている.

▼病態

 皮膚で紫外線の作用のもとに産生されるビタミンD3,あるいは腸管で吸収されたビタミンD2やD3は,まず肝臓で25-水酸化酵素による水酸化を受け25-水酸化ビタミンDとなる.この25-水酸化ビタミンDはさらに腎臓近位尿細管で,CYP27B1がコードする25-水酸化ビタミンD-1α-水酸化酵素により水酸化を受け1,25-水酸化ビタミンDとなり,1,25-水酸化ビタミンDがVDRに結合することにより作用を発揮する.1,25-水酸化ビタミンDは,腸管でのカルシウム(Ca),リン(P)吸収や腎遠位尿細管でのCa再吸収を促進することにより,血中CaやP濃度の維持に貢献している.ビタミンD依存症では1,25-水酸化ビタミンDの産生や作用が障害されるため,低Ca血症,低P血症が惹起され,骨石灰化障害からくる病・骨軟化症が発症する.

▼疫学

 わが国での患者数は100人未満と推定されている.

▼診断

 わが国ではビタミンD依存症は指定難病の1つであり,診断基準が作成されている.①低Ca血症,②低P血症,③血中PTH高値,④血中アルカリホスファターゼ高値,⑤血中25-水酸化ビタミンD値正常,⑥骨X線像でのくる病・骨軟化症の存在が認められ,血中1,25-水酸化ビタミンD

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