疾患を疑うポイント
●副腎偶発腫として発見される場合が多い.
●巨大な副腎腫瘍(4cm以上).
●Cushing症候群を呈する場合がある.
学びのポイント
●100万人中約0.7~2人/年に発症.全悪性腫瘍の0.2%ときわめてまれな疾患.
●50~80%に副腎皮質ステロイド産生を認める.
●ステロイド過剰症状,腫瘍圧迫症状が診断の契機となるが,約15%は副腎偶発腫として診断される.
●4cm以上の片側副腎腫瘍では副腎癌を鑑別に考える.
●予後はきわめて不良であるが,ステージⅠでは長期予後が見込めるため,副腎偶発腫の診療時には本症の可能性を念頭におく.
▼定義
100万人にあたり年間0.7~2人に発症するまれな悪性腫瘍.ACCの50~80%はステロイドホルモン産生を示す.
▼病態
ACCの約60%はいずれかの副腎皮質ステロイド産生を呈し,Cushing(クッシング)症候群を示す場合が多い.またしばしばCushing症候群に合併あるいは単独で副腎アンドロゲンやエストロゲンを過剰産生することがある.まれにアルドステロン産生癌も存在する.ACCでは低分化な個々の腫瘍細胞での不均一なステロイド合成酵素発現により多系統の副腎皮質ステロイド産生を示しうる.ホルモン過剰症状としてはCushing症候群(高血圧,糖脂質代謝異常,骨粗鬆症,筋力低下),ミネラル(鉱質)コルチコイド過剰症状(高血圧,低カリウム血症),男性化徴候,女性化乳房などを呈する.
また非内分泌性の症候として腹痛,背部痛,腹部膨満感などの非特異的腹部症状を示す.
また約15%においては,他疾患の画像検査の際に副腎偶発腫として発見される場合もある.
▼疫学
発症年齢は10歳以下と40~50歳代の2峰性を示す.女性にやや多い(55~60%).
▼病因
家族性の要因としては,癌抑制遺伝子p53変異によるLi-Fraumeni(リ-フラウメニ)症候群や染色体
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