▼定義
男性の性腺機能低下症では,精子形成の低下やテストステロン産生の低下,いずれかを認める.
▼分類
障害部位によって,原発性性腺機能低下症と続発性性腺機能低下症,アンドロゲン受容体の遺伝子の異常,中高年者での性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism:LOH)の4つに分類される.
➊原発性精巣機能低下症
精巣そのものの障害であり,LH,FSHが正常値よりも高く,テストステロン値が低い.また,精子形成が障害されることが多い.染色体異常の疾患で最も頻度が高いのはKlinefelter(クラインフェルター)症候群である.ほかに先天的要因としては,XX male,Y染色体微小欠失症,FSH・LH受容体遺伝子の変異,停留精巣,精索静脈瘤,アンドロゲン産生障害,筋強直性ジストロフィーなどがある.後天的要因としては,感染症(特にムンプス),放射線,外傷,薬剤,精索捻転症などがある.
➋続発性性腺機能低下症
視床下部もしくは下垂体の障害によるもので,テストステロンが低値であるにもかかわらず,LH,FSHが正常~低値である状態である.特徴的な臨床所見を示す先天性のものとしては,Kallmann(カルマン)症候群(嗅覚異常),Laurence-Moon-Bardet-Biedl(ローレンス-ムーン-バルデ-ビードル)症候群(精神遅滞,網膜色素変性症,肥満,多指症),Prader-Willi(プラダー-ウィリー)症候群(肥満,筋緊張低下,知的障害,低身長)などがある.後天性のものは,高プロラクチン血症,慢性炎症,糖尿病,腫瘍,感染症,下垂体卒中,外傷などが原因となる.
➌アンドロゲン受容体の遺伝子異常
46,XYでテストステロン値,LH値,FSH値が正常であるにもかかわらず,性分化異常が引き起こされる.完全型アンドロゲン不応症候群である精巣女性化症候群,部分型アンドロゲン不
関連リンク
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