診療支援
治療

内分泌疾患を理解するためのポイント
柴田 洋孝
(大分大学教授・内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学)

ざっくりわかる内分泌疾患

 内分泌疾患は,内分泌臓器の腫瘍や炎症などが原因のホルモン産生過剰による機能亢進症,または,ホルモン産生低下による機能低下症が中心で,最近ではそれに加えて,潜在性機能亢進症や潜在性機能低下症もあります.内分泌疾患の病態を考えるときには,ホルモンのフィードバック調節バイオリズムを知っておく必要があります.

A フィードバック調節

 内分泌系の調節で最も特徴的なのがフィードバック調節です.内分泌腺から分泌されたホルモンは標的臓器に作用して,そのホルモン効果は標的臓器から内分泌腺にフィードバックされ,内分泌腺からのホルモン分泌を抑制(ネガティブフィードバック)したり,促進(ポジティブフィードバック)したりします.たとえば,視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌され,CRHが下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を刺激して,ACTHが副腎皮質からのコルチゾール分泌を刺激します.一方で,分泌されたコルチゾールは視床下部,下垂体からのCRH,ACTH分泌をネガティブフィードバック機構により抑制するのは典型的な例です.その他にも,血中カルシウム濃度が副甲状腺のCa感知受容体を介して副甲状腺ホルモン(PTH)分泌を抑制する例があります(図7-1)

B バイオリズム

 多くのホルモン分泌は季節変化,明暗周期による日内変動,睡眠,食事,ストレスなどにより変動して環境変化に適応します.ホルモン分泌のリズム周期はそれぞれさまざまで,1~2時間ごとに分泌される黄体化ホルモン(LH)などの下垂体ホルモンのパルス状分泌,早朝高値,夕方から夜間にかけての低値を認めるコルチゾールなどの日内リズムに応じた分泌,平均28日間周期を示す月経周期に応じたゴナドトロピン分泌などが知られています.視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の間欠的な

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