▼定義
骨髄において赤芽球のうち15%に環状鉄芽球(ring sideroblast)を認める貧血である.環状鉄芽球は5個以上の鉄顆粒が核周囲の1/3以上にわたり分布する鉄芽球(図8-9図).
▼病態
赤芽球のミトコンドリアにおいて鉄の利用障害が起こると過剰鉄が沈着し鉄顆粒が形成され,鉄芽球として観察されるようになる.鉄芽球性貧血は上記のように多数の鉄顆粒が環状に分布した鉄芽球が認められる貧血である.貧血の原因として,ヘム合成不全や鉄沈着によるミトコンドリア機能異常や酸化ストレスなどによる赤血球造血の障害が考えられている.
▼疫学
先天性鉄芽球性貧血はきわめて少なく,日本での症例数は100症例以下と推測される.日本における骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)全体の有病率は約3人/10万人で,そのうちMDS with ring sideroblast(M