疾患を疑うポイント
●慢性赤芽球癆は中高年にみられる.
●網赤血球の著減を伴う正球性正色素性貧血がみられる.
学びのポイント
●赤芽球癆は骨髄における造血幹細胞の増殖・分化の障害によって赤血球が選択的につくられなくなる病気で貧血をきたす.
●赤芽球癆の原因は多様で,原因を特定できない特発性となんらかの基礎疾患に伴う続発性がある.
●続発性赤芽球癆の原因として,胸腺腫,リンパ系腫瘍,固形腫瘍,リウマチ性疾患,ウイルス感染症,薬剤性などがあり,まれに妊娠に合併する.
●急性型はself-limitedであるが,基礎疾患の治療に反応しない慢性赤芽球癆には免疫抑制療法が行われる.
▼定義
造血幹細胞不全(stem cell failure)に基づく難治性貧血(骨髄不全症候群)の1つで,骨髄における赤血球系造血の選択的減少とそれに起因する網赤血球の著減および正球性貧血を呈する疾患.
▼病態
赤芽球癆の病因・病態は多様であるが,共通する病態は赤血球系前駆細胞の増殖・分化障害に起因する骨髄赤芽球の低形成と網赤血球の減少を伴う貧血の出現である.赤血球系前駆細胞の増殖・分化障害のメカニズムとしては,①赤血球系前駆細胞における先天的あるいは後天的な遺伝子変異,②薬剤やウイルスによる細胞傷害,③自己傷害性リンパ球や自己抗体による赤血球系前駆細胞に対する傷害,④ABO major不適合同種造血幹細胞移植後における不適合血球凝集素による赤血球系前駆細胞の破壊などがある.
先天性赤芽球癆としてDiamond-Blackfan(ダイアモンド-ブラックファン)貧血がよく知られており,通常乳児期に大球性貧血で発症し約40%の症例で種々の体表奇形がみられる.Diamond-Blackfan貧血の50%以上の症例において遺伝子異常が検出され,リボソーム蛋白関連遺伝子あるいはGATA1遺伝子の異常がみられる.赤芽球癆との関連が指摘
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