診療支援
治療

【6】その他の先天性凝固因子欠乏症
miscellaneous congenital coagulation factor deficiencies
荻原 建一
(奈良県立医科大学・小児科)
嶋 緑倫
(奈良県立医科大学教授・小児科)

▼定義

 血友病,von Willebrand(フォン・ヴィレブランド)病以外の先天性凝固因子欠乏症はきわめてまれであり,血友病類縁疾患,rare coagulation disorders(RCD)などと総称される.凝固因子活性が一定値以下である量的異常(凝固因子欠乏症)に加えて,抗原と活性に乖離を認める質的異常(凝固因子異常症)も本項に含む.フィブリノゲン,プロトロンビン,第Ⅴ因子(FⅤ),FⅦ,FⅩ,FⅪ,FⅩⅢ欠乏症は出血症状を呈するが,FⅫ欠乏症は出血症状を呈さず治療は不要である.わが国RCDの疾患別患者数を表8-28に示す.原因は各凝固因子の責任遺伝子内の遺伝子変異にあるが,翻訳後処理過程に重要な蛋白の遺伝子変異でも生じうる(FⅤ-FⅧ欠乏症).RCDのほとんどが常染色体劣性遺伝形式を示す.

▼病態

 皮膚粘膜・軟部組織・関節出血,月経過多,外傷・手術時の異常出血をきたすものが多い

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