診療支援
治療

【5】造血幹細胞移植
stem cell transplantation
藤原 慎一郎
(自治医科大学講師・血液学)

▼定義

 大量抗がん剤や放射線照射(前処置)により患者の造血細胞を死滅させたのちに,造血幹細胞を移植し造血機能を回復させる治療法である.

 患者の造血幹細胞を移植する自家移植とドナーの造血幹細胞を移植する同種移植に分けられる.自家移植は前処置による強力な抗腫瘍効果に期待する治療である.一方,同種移植は,前処置による抗腫瘍効果に加え,ドナー細胞による移植片対白血病(graft-versus-leukemia:GVL)効果も期待できる治療である.

▼分類

ドナー

 ドナーが血縁者(兄弟姉妹,両親)である血縁者間移植と非血縁者(骨髄バンクドナー,臍帯血バンクドナー)である非血縁者間移植に分けられる.

幹細胞由来

 造血幹細胞は,骨髄内に存在しているが,顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)を使用すると末梢血にも動員される.また,臍帯の血液(臍帯血)にも含まれている.

 移植する幹細胞の由来により,骨髄移植(bone marrow transplantation:BMT),末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation:PBSCT),臍帯血移植(cord blood transplantation:CBT)に分けられる.PBSCTはBMTと比べ造血回復が早いが,ドナーリンパ球を多く含み移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)の頻度が増加する.CBTは凍結保存されているため日程調整が容易でGVHDは少ないが,造血回復が遅く生着不全のリスクがある.

HLA

‍ HLA(human histocompatibility leukocyte antigen,ヒト組織適合白血球抗原)の不適合数に応じてGVHDのリスクが高まる.HLAのなかで

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