診療支援
治療

5 結節性多発動脈炎
polyarteritis nodosa(PAN)
要 伸也
(杏林大学教授・腎臓・リウマチ膠原病内科学)

学びのポイント

●中型血管炎に属するPANは中型血管の壊死性血管炎と動脈瘤がみられるまれな疾患であるが,一般に糸球体腎炎はみられない.

●腎病変として時に腎梗塞や腎血管性高血圧,虚血性腎症がみられることがある.

▼定義

 腎臓や腹部などの中型動脈に壊死性血管炎と動脈瘤を生じる原因不明の中型血管炎である.ANCAは陰性であり,ANCA関連血管炎と区別される.

▼病態

 不明である.通常,小血管(細動脈,毛細血管,細静脈)を侵すことはなく,腎病変として糸球体腎炎はみられない.B型肝炎に続発することがあり,病態との関連が示唆されている.

▼疫学

 現在はまれな疾患と考えられている.男女比は1~3:1で男性に多く,発症平均年齢は55歳程度.

▼症状・検査所見

 罹患臓器の症状が現れる.腹部では虚血性腸炎・消化管穿孔,多発性単神経炎,中枢神経では脳梗塞,皮膚では紫斑や四肢末梢の壊疽などがみられる.腎病変としては,腎動脈

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