診療支援
治療

【2】アルポート症候群,基底膜菲薄化症候群
Alport syndrome,thin basement membrane disease
野津 寛大
(神戸大学大学院特命教授・小児科学)
飯島 一誠
(神戸大学大学院教授・小児科学)

疾患を疑うポイント

●Alport症候群は進行性の腎炎に感音性難聴および眼病変を合併するが,腎症状のみを呈する場合も多々ある.

●全例に血尿を伴うため,家族性血尿で中等度以上の蛋白尿または家系内に腎不全患者を有する場合はAlport症候群を,血尿のみの場合は基底膜菲薄化症候群を疑う.ただし孤発例も存在する.

▼定義・疫学

 Alport(アルポート)症候群は進行性の腎炎,感音性難聴および眼病変を特徴とする.一方,基底膜菲薄化症候群(TBM)は本来病理診断名であるが,血尿(および軽度蛋白尿)に加え,病理学的に腎糸球体基底膜の菲薄化を認め,ほかの腎疾患が否定的である場合に臨床診断名で用いられる.

 有病率は約5,000人に1人とされ,成人の新規腎不全患者の0.3~2.3%を占めるとされている.

▼病態

 糸球体基底膜を構成するⅣ型コラーゲンα3/α4/α5鎖をコードする遺伝子である,COL4A3/COL4A

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