診療支援
治療

4 シェーグレン症候群による腎障害
renal involvement in Sjögren syndrome
小林 修三
(湘南鎌倉総合病院・院長代行)
大竹 剛靖
(湘南鎌倉総合病院・副院長)

学びのポイント

●慢性炎症性自己免疫性疾患で,多彩な臓器障害を呈しうる疾患.

●腎では主に間質性腎炎とそれに伴う尿細管機能異常を呈する.

▼定義

 涙腺,唾液腺など外分泌腺へのリンパ球浸潤とそれに伴う乾燥症状を主体とする自己免疫性疾患で,関節炎,間質性肺炎,慢性膵炎,末梢神経障害,腎障害など多彩な内臓病変を呈しうる全身性疾患である(表9-49)〔第13章「シェーグレン症候群」の項()も参照〕.腎では遠位尿細管性アシドーシス,低カリウム血症,尿濃縮力低下など尿細管機能異常と間質性腎炎の像を呈する.

▼病態

‍ 抗原特異的免疫応答の関与が考えられている.先行する感染症などにより唾液腺組織が破壊されることで唾液腺自己抗原が流出し,抗原提示細胞と自己反応性T細胞の反応により免疫応答が惹起され,自己抗体の産生やサイトカイン産生などを介して組織破壊を生じる.

▼疫学

 50歳代にピークがあり男女比1:17.4で女性に多い.原発性,続発性あわせて10~30万人の患者が存在する.関節リウマチとの合併が約20%程度と多く,橋本病との合併も多い.

▼分類

‍ 原発性Sjögren(シェーグレン)症候群と,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスなど膠原病を合併した続発性Sjögren症候群に大別される.

▼診断

 Sjögren症候群の厚生省改訂診断基準(1999年)が用いられる.①生検組織でのリンパ球浸潤,②口腔検査異常,③眼科検査異常,④血液検査異常(抗SS-A/Ro抗体陽性あるいは抗SS-B/La抗体陽性)のうち2項目以上陽性で診断する.

▼治療

 乾燥症状のみであれば対症療法を行う.比較的軽度の間質性腎炎では少量の副腎皮質ステロイド(PSL換算15mg程度を1日1~3回に分けて)を用い,活動性の高い場合には中等量以上(PSL換算30~60mgを1日1~3回に分けて)を使用する.生物製剤であるリツキシマブの有効性

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