▼定義
胎生5週頃に出現する後腎芽組織から発生する悪性腫瘍.腎芽腫(nephroblastoma)ともよばれる.
▼病態
小児にみられる腎腫瘍の大部分を占める.腹部腫瘤や肉眼的血尿を主訴に発見される.停留精巣・尿道下裂などの泌尿器系先天異常をはじめ,種々の奇形を合併することが多い.約10%の症例はWAGR症候群(Wilms腫瘍,無虹彩症,外性器異常,知的障害),Denys-Drash(デニス-ドラッシュ)症候群(Wilms腫瘍,性分化異常,腎疾患),Beckwith-Wiedemann(ベックウィズ-ヴィーデマン)症候群(Wilms腫瘍,臍ヘルニア,巨舌,過成長)などの多発奇形症候群に伴う.WT1遺伝子(11p13),WT2遺伝子(11p5),WTX遺伝子(X染色体)などの異常が発症に関与する.
▼疫学
わが国では,全小児悪性腫瘍の約5%を占める.年間80~100例が発症し,出生数1.2万~1