疾患を疑うポイント
●高血圧の既往がある40歳以降で,主に突然の片麻痺で発症,重症の場合は失語,意識障害を呈する.男性に多く,高血圧未治療,低栄養などがあり,多量飲酒などもみられる.また,抗血小板薬,抗凝固薬服用や透析が関与する.
学びのポイント
●脳卒中全体の約15%を占め,死亡率約15%と高く,生存しても半数以上の例で片麻痺,失語,認知機能障害などADLを低下させる疾患.
▼定義
高血圧により変性した穿通枝動脈からの出血による脳出血.大脳深部,後頭蓋窩(脳幹,小脳)にみられる.
▼病態
末梢のより細い動脈ほど動脈圧は低下するが,脳の穿通枝動脈は圧が高い動脈より直接分岐し,高血圧があると細い同動脈の負担が大きく,変性しやすい.高血圧に起因する同動脈の類線維素変性による血管壊死または微小脳動脈瘤の破裂などが主な出血の原因である.
動脈病変に関する危険因子は高血圧,喫煙,糖尿病,高齢,低コレステロール,低栄養などがあり,出血傾向に関する危険因子は腎機能障害,透析,アルコール多飲,肝機能障害,抗凝固薬,抗血小板薬,血小板減少などがある.その他,炎症性疾患,齲歯,過労,ストレスが関与する.
脳出血による組織の直接的破壊のほか,組織の圧排,周囲の脳腫脹が損傷を増強する.
▼疫学
50~60歳に発症のピークがある.年間3万人以上が脳出血で死亡している.日本は欧米に比較し,高血圧性脳出血が2~3倍多いといわれている.
▼分類
高血圧性脳出血の発生部位は被殻31%,視床28%,脳幹9%,小脳8%,尾状核1%である.残りの20%は皮質下出血が占めるが,脳アミロイド血管症も関連する.
▼診断
突発した片麻痺,失語,意識障害など脳卒中を疑い,CT,MRIを行うことで診断可能である.MRAを行い,必要であれば造影CT,脳血管撮影を行い,脳動脈瘤,動静脈奇形,血管腫などの疾患を鑑別する.採血により肝,腎機能障害
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