診療支援
治療

(1)嗜銀顆粒性認知症
argyrophilic grain disease(AGD)
長谷川 一子
(NHO相模原病院脳神経内科/研究センター難病研究室室長)

▼定義

 神経病理学的な疾患概念であり,嗜銀顆粒が多数みられ,Alzheimer(アルツハイマー)病(Alzheimer's disease:AD)が否定された病態である.嗜銀性顆粒の組成はリン酸化タウであり,アイソフォームは4リピートタウである.

▼病態

 病理学的にAGDと病理診断された症例の臨床症状は,病理学的病変分布に一致する.すなわち記銘力障害,興奮,易怒性,情緒不安,妄想などがみられるが,特徴的所見はない.日常生活は比較的保たれる.画像上は左右差を伴う迂回回を中心とする側頭葉内側面前方の萎縮を認める.なお,病理学的にAGDと診断されても,臨床上は認知症状を呈さない症例もみられる.

▼疫学

 病理学的検討を経たのち確定診断されるため評価が困難である.高齢になるに従い,有病率は増加する.AGDの頻度は変性性認知症の4番目,認知症の5~9%とされる.

▼分類

 Saitoによる病理学的ステージ分類

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