診療支援
治療

2 レヴィ小体型認知症
dementia with Lewy bodies(DLB)
髙橋 牧郎
(日本赤十字社大阪赤十字病院・脳神経内科主任部長)

疾患を疑うポイント

●幻視,錯視などの視覚性認知障害や変動する認知障害が特徴的.

●静止時振戦,筋強剛,寡動などのパーキンソニズムがみられる.

●筋肉の緊張を伴うRBDがみられることが多い.

学びのポイント

●臨床上の中核的特徴は①認知機能の変動,②具体的な幻視,③特発性パーキンソニズム,④RBDの4つ.

●診断バイオマーカーとしては①SPECT,PET検査による基底核でのドパミントランスポーター取り込み低下,②MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下,③ポリソムノグラフィで確認される筋緊張を伴うレム睡眠の3つ.

●病理学的には神経シナプス可塑性関連蛋白αS陽性の神経細胞内封入体(Lewy小体)が蓄積・伝播する.

▼定義・病態

 日常生活に支障をきたす進行性認知機能低下があることが前提で,初期には記憶障害はなくてもよい.注意,遂行機能,視空間認知の障害が認められる.DLBの認知症状は通常変動があり,具体的な幻視や錯視がみられる.しばしばレム期睡眠行動障害〔rapid eye movement(REM) sleep behavior disorder:RBD〕やパーキンソニズム,自律神経障害や嗅覚障害が合併する.

▼疫学

 Alzheimer(アルツハイマー)型認知症,血管性認知症についで多い認知症であり,認知症全体の約15~20%とする報告もある.

▼分類と病因論

 認知症を伴うParkinson(パーキンソン)病(Parkinson's disease with dementia:PDD)との異同が論じられている.DLBのパーキンソニズムはPDDと比較して静止時振戦や症状の左右差が少なく,ドパミン神経細胞脱落はPDDより初期には軽い一方で,処理速度,視空間認知,遂行機能,注意などはDLBのほうが早期より障害されるが,臨床上両者に質的な差がある証拠はない.便宜上,PDDとDLBの区別が必要な病因研

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