診療支援
治療

1 筋萎縮性側索硬化症
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
伊東 秀文
(和歌山県立医科大学教授・脳神経内科学)

疾患を疑うポイント

●中年期以降に発症する,顔面・舌を含む全身びまん性の緩徐進行性筋萎縮と線維束性収縮.

●感覚障害は伴わず,腱反射は亢進や低下が混在.

学びのポイント

●運動ニューロンの変性脱落により,全身の随意筋が徐々に萎縮して寝たきりとなり,発症後数年で死に至る.原因は不明で有効な治療法が全くない,難病中の難病.

●LMNの変性によって線維束性収縮を伴う筋萎縮が緩徐に進行し,UMNの脱落により腱反射が亢進してBabinski徴候などの病的反射が出現する.

●脊髄障害や末梢神経障害の鑑別が必要であるが,本疾患は運動ニューロンの選択的変性であり,感覚障害は伴わず,膀胱直腸障害などの自律神経症状や小脳失調などを認めない.

▼定義

‍ 上位運動ニューロン(upper motor neuron:UMN)と下位運動ニューロン(lower motor neuron:LMN)が選択的に変性する疾患.中年期以降に筋力

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