診療支援
治療

6 アミロイドーシス
amyloidosis
小池 春樹
(名古屋大学大学院准教授・神経内科学)

▼定義

 線維状の蛋白質であるアミロイドが全身のさまざまな臓器の細胞外に沈着して障害を起こす疾患.アミロイドはコンゴレッド染色で橙赤色に染色され,偏光顕微鏡で緑色偏光を呈する.電子顕微鏡下では線維性の構造物として観察される(図10-73)

 全身性と限局性に大きく分けられ,現在までに30以上の原因となりうる蛋白質が報告されている.全身性アミロイドーシスの代表的なものとして,形質細胞から産生された免疫グロブリン軽鎖の沈着によるALアミロイドーシス,老人性全身性アミロイドーシスや家族性アミロイドポリニューロパチーなどのトランスサイレチンを原因蛋白とするATTRアミロイドーシス,関節リウマチなどの慢性炎症に続発するAAアミロイドーシス,長期透析患者に発症するAβアミロイドーシスなどがある.限局性アミロイドーシスの代表はAlzheimer(アルツハイマー)病やプリオン病などである.

▼病態

 アミロイドとして沈着する蛋白はβシート構造を有しており,これが重合することによってアミロイド線維が形成される.形成されたアミロイド線維は不溶性であり,組織に沈着することによって臓器の障害や機能不全が生じると考えられている.アミロイドによる障害の機序としては,①沈着したアミロイド自体による圧迫,②アミロイド線維の浸潤による組織ないし細胞の破壊,③血管周囲に沈着したアミロイドによる血行障害,などが推測され,臓器や疾患によって異なると考えられる.また,疾患によってはアミロイド線維を形成する以前の,いわゆるオリゴマーのような前駆物質が毒性を発揮するとする説もある.

▼診断

 全身性アミロイドーシスは心臓,神経,消化管,腎臓などへのアミロイド沈着によって生じる臓器障害がさまざまな症状を引き起こすが,原因となる疾患・蛋白が数多くあり,診断が困難な場合も多い.このような全身性アミロイドーシスの診断は,生検組織におけ

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