診療支援
治療

4 アレキサンダー病
Alexander disease
中川 正法
(京都府立医科大学附属北部医療センター・病院長)

疾患を疑うポイント

●乳児型:けいれん,大頭症,精神運動発達遅滞,前頭葉優位の白質異常.

●成人型:筋力低下,痙性麻痺,球症状,延髄・頸髄萎縮.

学びのポイント

●乳児期の白質変性症の鑑別疾患の1つ.

●2型では延髄・脊髄萎縮が特徴的.

▼定義

‍ グリア線維性酸性蛋白(glial fibrillary acidic protein:GFAP),αB-クリスタリン,熱ショック蛋白などから構成されるRosenthal(ローゼンタル)線維をアストロサイト(星状膠細胞)に認めることが特徴である.Alexander(アレキサンダー)病の97%においてGFAP遺伝子のミスセンス変異/数塩基欠失/挿入が認められ,確定診断に用いられる.

▼病態

 変異GFAPを中心に形成される異常凝集体が病態に関与している.変異GFAPによるシャペロン系抑制やAlexander病モデルマウスのアストロサイトの巨大な異常Caイオン波などが病態に関与するとの研究がある.

▼疫学

 わが国では100人程度と推定されている.

▼分類

1型

 主に乳幼児期発症で,けいれん,大頭症,精神運動発達遅滞,頭部MRIでの前頭部優位の広範な大脳白質異常を特徴とする.機能予後不良の重症例が多い.

2型

 学童期あるいは成人期の発症で,筋力低下,痙性麻痺,球症状,頭部MRIでの延髄・頸髄の信号異常/萎縮を特徴とする.1型に比して進行は緩徐である場合が多い.家族内発症が多く,無症候の症例も存在する.

3型

 1型および2型の両者の特徴を有する型.発症時期は幼児期から青年期まで幅広い.1型の長期生存例において2型の特徴がのちに現れることがあるが,これも3型に含める.

▼診断

 「遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築」研究班から診断基準が出されている(表10-45)

▼治療・予後

 現時点では根本治療はなく,抗てんかん薬,抗痙縮薬などの対症療法にとどまる.

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