▼定義
筋組織を標的とする自己免疫疾患で,亜急性から慢性の経過で四肢近位筋優位に左右対称性の筋力低下を生じ,筋組織には炎症細胞浸潤と筋線維破壊を認める.皮疹の有無から皮膚筋炎,多発性筋炎に分類される〔第13章「多発性筋炎,皮膚筋炎」の項(→)も参照〕.
▼病態
女性に多く,発症年齢には小児と50歳代という2つのピークがある.約7~8割の症例で筋炎自己抗体が出現していること,抗体ごとに特徴的な臨床像を呈することが明らかになり,病態への筋炎自己抗体の関与が推定されるが不明な点が多い.
▼分類
臨床像からは典型的皮疹の有無からDMとPMに分類される.筋病理所見からは皮膚筋炎,病理的多発性筋炎(後述),壊死性ミオパチー,非特異的筋炎に分類される.病理的多発性筋炎と壊死性ミオパチーは皮疹を伴わないことが多く臨床像からの分類のPMに対応する.近年,出現する自己抗体の種類からの分類も用いられようになってきている.皮膚症状のみで皮膚病理学的所見がDMに合致するものは,無筋症性皮膚筋炎としてDMに含まれる.
▼診断
典型的な皮膚症状の有無でDMとPMを分類し,左右対称性の近位筋筋力低下,血清CKの上昇,安静時放電を含む筋電図変化,筋生検で筋線維のMHC classⅠ発現亢進を含む筋炎の病理所見から診断をする.
➊臨床症状
DMではヘリオトロープ疹,Gottron(ゴットロン)丘疹,Gottron徴候,爪周囲紅斑,体幹紅斑(ショール徴候やVネック徴候)を認める.左右対称性の四肢近位筋優位の筋力低下を認め,頸部前屈力の低下は,ほぼ全例に早期より認める.時に筋痛や筋把握痛を認める.慢性経過例以外では筋萎縮は目立たない.筋外症状として間質性肺炎,関節炎,悪性腫瘍の合併を認めることがある.不整脈や心筋炎などの心合併をまれに認める.また,骨破壊を伴わない関節炎または関節痛を伴う場合がある.
➋検査所見
1)血液検査
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