疾患を疑うポイント
●甲状腺機能低下があること.
●近位筋優位の症状,myoedemaやmounding現象,腱反射弛緩相遅延などがみられる.
▼定義
甲状腺機能低下による骨格筋組織の代謝障害に基づくミオパチーである.
▼病態
甲状腺機能低下によりミトコンドリアでの酸素消費が減少し基礎代謝が低下する.骨格筋組織のグリコーゲン利用が障害され,その蓄積と空腹時低血糖が生じる.また皮膚や筋組織でのリソソーム蛋白分解酵素活性低下によりヒアルロン酸の分解が低下し粘液多糖類が蓄積する.脂肪代謝障害の結果,高コレステロール血症や骨格筋でのトリグリセリドの利用障害がみられる.腱反射弛緩相の遅延はmyosin ATPase活性低下と筋小胞体へのCa取り込み障害による.
▼疫学
男女比は1:10程度と女性に多く,人種や年齢による易罹患性はない.
▼診断
甲状腺機能低下症の症状や検査所見と,特有な筋症状や筋電図,筋生検所見