診療支援
治療

3 結節性硬化症
tuberous sclerosis complex(TSC)
金田 眞理
(大阪大学大学院准教授・皮膚科)

▼定義・病態

 TSCは,TSC1遺伝子,TSC2遺伝子の異常の結果,その遺伝子産物であるhamartinとtuberinに異常を生じ,下流のmTORC1が恒常的に活性化することにより,全身の種々の臓器に過誤腫をきたし,てんかんや自閉スペクトラム障害,学習障害などの神経症状および白斑を生じる,頻度1/6,000人の常染色体優性遺伝性の疾患である(図10-107)

 症状や程度,発症時期はさまざまで,まず胎児期の多発性横紋筋腫,乳児期には点頭てんかんなどのてんかん,自閉症スペクトラム障害などの発達障害や学習障害などで代表される知的障害,TSC関連神経精神症状(tuberous sclerosis complex-associated neuropsychiatric disorders:TAND),上衣下結節(subependymal nodule:SEN),時に上衣下巨細胞性星状細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma:SEGA),10歳代に入って腎の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML),顔面の血管線維腫(図10-108),20歳代では肺のmultifocal micronodular pneumocyte hyperplasia(MMPH)や女性でリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)が重要になる.シャグリンパッチは10歳代後半から,爪線維腫は20歳代以降から著明になることが多い.いずれも個人差が大きい.その他本症に特徴的な症状としては,子宮などのperivascular epitheloid cell tumor(PEComa)がある.

▼診断

 2012年の第2回TSC Clinical Consensus Conferenceで批准された,新規診断基準を基にした「結節性硬化症の

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