診療支援
治療

1 破傷風
tetanus
大毛 宏喜
(広島大学病院・感染症科教授)

▼定義

 哺乳類の腸管内や土壌に広く常在する破傷風菌(Clostridium tetani)によって起こる.毒素は血流を介して脳幹や脊髄に達し,運動神経の抑制性神経回路を遮断する.その結果,安静時活動神経刺激頻度の上昇をきたし,筋肉の硬直症状として発症する.

▼病態

 外傷で汚染創から菌が侵入する.潜伏期は8日以内であるが,芽胞の侵入から中枢神経系への毒素の移行の速度次第で,1日から数か月と報告に幅がある.外傷から発症までの期間が短いほ

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