疾患を疑うポイント
●カンジダ症のリスクは,免疫不全患者や集中治療を要する患者で高い.
●中心静脈カテーテルやポートを使用している際の発熱時はカンジダ症を積極的に疑う.
学びのポイント
●カテーテルが原因の場合は,すみやかに抜去し,合併症である眼内炎を必ず鑑別する.
●薬剤耐性カンジダも増加しており,病態に応じた抗真菌薬の使い分けが必要である.
▼定義・概念
Candida albicans,C. glabrata,C. tropicalis,C. parapsilosis,C. kruseiなどのカンジダ属菌による感染である.このうちC. albicansが最も多く検出されるが,近年はnon-albicans Candida(C. albicans以外のカンジダ属菌)が増加しつつある.カンジダ症は日常臨床でよくみられる真菌症である.
▼病態・分類・疫学
カンジダ属菌は口腔内,腸管内,腟内,皮膚などの常在菌として生息しており,皮膚・粘膜バリアの破綻,細胞性免疫の低下,好中球の減少や機能低下を危険因子として,皮膚粘膜カンジダ症(表在型),内臓カンジダ症(深在型)を発症する.
カンジダ症の感染経路は,中心静脈カテーテルなどの血管内留置カテーテルを介して皮膚から感染する場合(外因性)と,腸管に常在しているカンジダが基礎疾患の治療により破綻した腸管粘膜から感染する場合(内因性)の2つの経路がある(図11-25図).C. albicansは感染すると酵母から仮性菌糸を伸ばし,糸状菌に類似した形態を示す.このような真菌を二形性真菌という.わが国における病理学的な検討では,剖検された症例で深在性真菌症の頻度としては,アスペルギルス症についで多い.
▼臨床症状・診断
口腔カンジダ症や食道カンジダ症などの粘膜カンジダ症では,口腔内や食道に白色の隆起性病変がみられる.口腔カンジダ症では,口内痛や味覚障害,食