疾患を疑うポイント
●皮膚に病変を有する一般抗菌薬不応性の感染徴候を有する患者で疑う.
学びのポイント
●皮膚が侵入門戸となるため,特異な真菌症.
●人獣共通感染症であり,診断にはペット飼育歴,動物との接触歴も重要.
▼定義・概念
二相性真菌であるSporothrix schenckiiによる感染症であり,皮膚,皮下組織に潰瘍性の病変を生じる.まれに骨や関節,肺,中枢神経系へ播種する深在性真菌症を呈する.
▼病態・分類・疫学
S. schenckiiは,土壌や植物に生息しており,ヒトへは皮膚の外傷を介して感染する.農業やガーデニング従事者に多くみられ,性差はなく,どの年齢でも発症しうるが,戸外で活動する機会の多い子どもや若年者に多くみられる.また,本菌は動物の体表に定着していることもあり,ネコなどを介して間接的に感染する人獣共通感染症である.自然界では菌糸形,感染臓器内では酵母形でみられる.病型としては,皮膚,肺,播種型がある.このうち,侵入門戸を反映して皮膚型が最も多く,顔面,上下肢を中心に,疼痛や瘙痒感を伴った,潰瘍性の結節を形成する.胞子を吸入して発症する肺型はまれで,咳嗽,息切れ,胸痛,発熱などがみられる.播種型では,HIV感染患者などの免疫不全患者において骨,関節,中枢神経系などに病巣をつくり,感染臓器に応じた症状が出現する.
▼診断
診断は,皮膚の滲出液や,組織,喀痰,血液などの臨床検体の培養をサブロー寒天培地を用いて行う.S. schenckiiの菌体成分あるいは培養ろ液から抽出された抗原を利用した皮内反応(スポロトリキン反応)は,遅延型過敏反応陽性である.
▼治療
通常,皮膚型については,アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾールを皮膚病変が消失するまで使用する.肺型,播種型の重症例に対しては,アムホテリシンB製剤を長期間使用する.
▼予後
通常,皮膚型は予後良好であるが,播種型
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