診療支援
治療

8 ペットアレルギー
pet allergy
堀口 高彦
(藤田医科大学教授・呼吸器内科学Ⅱ)

▼定義

 アレルギー疾患において,動物アレルゲンは非常に重要なものの1つである.特にペットに対するアレルギーは,飼育率の高い欧米で以前から数多く報告され,またわが国においても飼育率は高く,生活に潤いや安らぎを得るためのペット飼育が生活に溶け込んできていることから,さらにその重要性が増してきている.飼育ペットの種類はどの国においてもイヌやネコが多く,日本においても同様であり,その他魚類,鳥類,昆虫類,ウサギ,ネズミ類,爬虫類,両生類などが続き,飼育動物は多種多様化しペットアレルギーも複雑化してきている.イヌやネコではフケが主要なアレルゲンとなるが,マウスやラットでは尿が重要なアレルゲンであると考えられている.本項では,飼育率の高いイヌやネコをはじめとした有毛性動物のアレルギーを中心に述べる.

イヌ・ネコアレルギー

 アレルゲンは蛋白質ファミリーによって分類され,ネコを例外として哺乳動物の多くで重要なのはリポカリンである(表12-10).同じ蛋白質ファミリーのアレルゲンはしばしば交差反応性を示す.

 ネコの主要アレルゲンは,Fel d 1とよばれるセクレトグロビンである.報告にもよるが通常ネコアレルギー患者の80%以上がFel d 1に対するIgE抗体を有する.Fel d 1は主に皮脂腺より分泌される.Fel d 7はイヌの主要アレルゲン(Can f 1)と交差反応性が示されている.さらにFel d 2への感作が豚肉による食物アレルギーを引き起こすことがある〔本項のトピックス参照〕.

 イヌの主要アレルゲンは,Can f 1とよばれるリポカリンである.しかし,ほとんどのネコアレルギー患者がFel d 1に反応するのに比べ,イヌアレルギー患者におけるCan f 1の感度は報告によってばらつきがあり,さらに地域差も報告されており,診断がより複雑である.Can f 1はイヌの皮脂腺から分泌

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