診療支援
治療

2 花粉症,アレルギー性鼻炎
pollinosis,allergic rhinitis
上條 篤
(埼玉医科大学教授・耳鼻咽喉科/アレルギーセンター)

疾患を疑うポイント

●三徴であるくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉が,通年性アレルギー性鼻炎では1年を通して,花粉症では季節性に出現する.

●通年性アレルギー性鼻炎では,下鼻甲介粘膜が蒼白浮腫状のことが多い.

●鼻汁好酸球検査が陽性となる.

学びのポイント

●アレルギー性鼻炎は典型的なⅠ型アレルギーであるが,しばしば気管支喘息を合併し,また,花粉症は睡眠障害や全身倦怠感の原因となりQOLを著しく障害する.

●アレルギー性鼻炎の有病率は年々増加しており,特にスギ花粉症では2人に1人が罹患している地域もあり,国民病といわれている.

●原因アレルゲンは特異的IgE抗体検査あるいは皮膚テストの結果を参考に推定する.

▼定義

 アレルギー性鼻炎は,発作性反復性のくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉を三徴とするⅠ型アレルギー性疾患である.花粉症は花粉アレルゲンが原因のアレルギー性鼻炎であり,しばしばアレルギー性結膜炎などを合併する.

▼病態

 遺伝的素因,環境因子が発症に関与する.吸入アレルゲンが粘膜に侵入すると,アレルゲン特異的IgE抗体が鼻粘膜局所や所属リンパ節で産生される.そのアレルゲン特異的IgE抗体が気道粘膜に分布する好塩基性細胞(マスト細胞,好塩基球)上に固着することにより感作が成立する.再度アレルゲンが吸入されると,鼻粘膜マスト細胞上のIgE抗体と結合し,マスト細胞からヒスタミン,ロイコトリエンを主とする化学伝達物質が放出され,鼻粘膜知覚神経を刺激し,くしゃみ,水様性鼻漏,さらに血管の反応として鼻閉が生じる(即時相反応).アレルゲン曝露後,鼻粘膜構成細胞(上皮細胞や線維芽細胞など)や炎症細胞(マスト細胞,Th2リンパ球など)から放出されるサイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13など),ケモカイン(eotaxin,RANTESなど),ケミカルメディエーター(ロイコトリエン,血小板活性化因子など)によって,活性

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