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治療

6 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA)
權 寧博
(日本大学教授・呼吸器内科学)

疾患を疑うポイント

●成人発症の喘息や慢性副鼻腔炎患者で,血中好酸球数がきわめて高く,喘息症状の後にしびれや感覚障害,皮膚症状などがみられる場合に本症を疑う.

学びのポイント

●喘息の発症や悪化に続き血管炎に伴う症状が出現する症候群であり,全身性の臨床症状の特徴や気管支喘息との鑑別点について理解する必要がある.また,合併症管理も含め,その治療法についても理解する.

▼定義

 喘息症状が先行し,その後好酸球増多を伴い生じる小~中血管を主座とする壊死性血管炎の一種である〔第13章のも参照〕.また,2012年,Chapel Hillカンファレンスにおいて,Churg-Strauss(チャーグ-ストラウス)症候群(CSS)から好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に名称が変更された.

▼病態

 気管支喘息やアレルギー性鼻炎が先行し,その後に好酸球増多を伴って発症する全身性血管炎である.下肢を中心とした四肢のしびれや感覚障害などの多発性単神経炎を80%以上で認める.また,紫斑,消化管潰瘍,脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・心外膜炎などの臨床症状を呈することがある.30~60歳に好発し,やや女性に多い.

 血中の好酸球増加に加え,IgE高値も認められる.抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)のサブタイプであるミエロペルオキシダーゼに対する抗体(MPO-ANCA)が約50%の症例で血清中に検出される.病理学的には中小型血管の壊死性血管炎(フィブリノイド壊死)とともに,血管外の組織の肉芽腫性病変と好酸球浸潤を特徴とする.

▼診断

 旧厚生省の診断基準(1998年)がある〔第13章の表13-19を参照〕.

▼治療

 急性期には,疾患活動性や重症度に応じて治療法を選択する必要がある.疾患活動性の判定にはBVAS(Birmingham Vasculitis

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