疾患を疑うポイント
●びまん性肺胞出血と急性腎障害を呈する肺腎症候群がみられた場合,本疾患が鑑別にあがる.
学びのポイント
●抗GBM抗体による臓器特異的自己免疫疾患.
●未治療の場合,90%以上の症例は死亡する.また6か月以内に血液透析に陥る.
●予後は発症時の腎機能に密接に関連し,血液透析の導入に至らないうちに免疫抑制療法や血漿交換を行えば治療反応性はよい.
▼定義
抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)抗体による急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)とびまん性肺胞出血を特徴とするまれな病態である.
▼病態
GBM抗体によって引き起こされるⅡ型アレルギーが病因の本態である.GBM抗体が認識する抗原は肺胞と糸球体基底膜に強く発現するⅣ型コラーゲンα3鎖C末端の非膠原質形成性(NC1)ドメインである.感染,喫煙,有害物質への曝露などのなんらかの原因による基底膜障害でこのNC1ドメイン抗原が表出することで抗体産生が引き起こされる.
▼疫学
発症率は年間100万人に0.5~1.0人程度で,白人はほかの人種より発症しやすく,男性は女性の6倍の罹患率である.好発年齢は,18~30歳と50~65歳の二峰性に分布している.
▼分類
Chapel Hill Consensus Conference(CHCC)2012では①腎限局型の抗GBM抗体型腎炎,②肺限局型抗GBM抗体型肺胞出血,③腎と肺の双方を障害する病型の3つを含む概念としている.
▼診断
➊呼吸器症状
肺胞出血などの症状は60~70%の症例にみられる.呼吸困難,咳嗽,血痰・喀血がみられ,まれに呼吸器症状が主体のこともある.
1)呼吸機能検査
肺胞出血により肺胞にヘモグロビンが存在すると,肺拡散能(DLCO)が上昇する.また全肺気量,肺
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