診療支援
治療

1 関節リウマチ
rheumatoid arthritis(RA)
亀田 秀人
(東邦大学教授・膠原病学)

疾患を疑うポイント

●手を中心とした対称性・多関節の腫脹が主要症状.

学びのポイント

●わが国の患者数は70万~80万人とされる.

●病態形成にはT細胞,B細胞,マクロファージ,滑膜線維芽細胞,破骨細胞などの多くの細胞とそれらの主要なコミュニケーションを司るサイトカインが重要な役割を果たしており,その活性を阻害する分子標的治療が画期的な成功を収めている.

●関節外病変としては間質性肺病変と血管炎が重要であるが,後者は治療の進歩に伴ってあまりみられなくなりつつある.

●RAの診断や疾患活動性は患者自己評価,関節所見を中心とした診察所見,血液検査での炎症反応より総合的に判断し,寛解または低疾患活動性を達成するように治療を進めることで機能障害を防止できる.

●メトトレキサートがアンカードラッグであるが,ほかの従来型合成抗リウマチ薬,生物学的抗リウマチ薬,分子標的合成抗リウマチ薬などの併用や代替使用を要する患者が多い.

▼定義

 多発性,持続性,関節破壊性の関節滑膜炎を主病態とした全身性自己免疫性リウマチ性疾患.

▼病態

病理

 関節滑膜組織はマクロファージ様の細胞と線維芽細胞様の細胞からなる1~2層の滑膜表層細胞(synovial lining cells)からなり,基底膜構造を有しない.RA患者においては絨毛状に多層化するまでの増殖を示している.滑膜表層細胞下では血管新生による毛細血管の増生を認める.そして,増生した毛細血管周囲にはCD4陽性T細胞を中心に,B細胞,形質細胞などが浸潤し,しばしばリンパろ胞の形成を認める.T細胞の増殖にはクローナリティー(clonality)が認められる.骨・軟骨に接する深部ではマクロファージや破骨細胞を混在した「リウマトイドパンヌス(rheumatoid pannus)」とよばれる肉芽組織を形成し,MMP-3(matrix metalloproteinase-3)

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?