診療支援
治療

(3)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA)
中島 裕史
(千葉大学大学院教授・アレルギー・臨床免疫学)

疾患を疑うポイント

●気管支喘息(以下,喘息)が先行し,末梢血好酸球数著増を伴う血管炎症状.

●多発性単神経炎による神経障害の出現.

▼概念・定義

 1951年Churg(チャーグ)とStrauss(ストラウス)が古典的結節性動脈周囲炎から喘息,好酸球増多を伴った一群を独立させたことに始まる.現在は,顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症とともにANCA関連血管炎に分類される.アトピー素因が少なく好酸球増多の目立つ重症喘息あるいは好酸球性副鼻腔炎が先行し,末梢血好酸球数の著明な増多とともに全身諸臓器の血管炎症状で発症する.

▼病態

 喘息あるいは好酸球性副鼻腔炎を背景に発症する血管炎症候群であり,細小血管に好酸球浸潤を伴う肉芽腫性病変,壊死性血管炎を認め,著明な末梢血好酸球数の増多を伴う.遺伝的要因と外的要因の両者の関与が示唆され,外的要因としてはアレルゲン曝露,感染,ワクチン,薬剤などが示唆されているが,その詳細は不明である.

 臨床経過は以下の3つの相からなる.

●第1相:喘息あるいは好酸球性副鼻腔炎

●第2相:好酸球増多,好酸球性肺炎,喘息悪化

●第3相:血管炎症状の出現

 喘息発症から血管炎発症までは5~10年が典型的だが,ほぼ同時に発症する例から,20年以上経過してから発症する例まで存在する.

 先行する喘息はほとんどが成人発症であり,発症時から重症で好酸球増多が目立つ症例が多い.喘息は難治性だが,強いアトピー素因を有する症例は少ない.

 血管炎症状として全身症状(発熱,体重減少,筋肉痛),多発性単神経炎(四肢末梢のしびれ・疼痛,麻痺),消化管障害(腹痛,消化管出血),皮膚症状(紫斑,紅斑),耳鼻・肺障害(好酸球性副鼻腔炎,間質性肺炎,肺胞出血),心臓障害(心不全,不整脈),中枢神経障害を認める.多発性単神経炎の合併頻度は約90%と高く,後遺障害を残しやすい.EGPAではほかのANCA関

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