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(1)クリオグロブリン血症性血管炎
cryoglobulinemic vasculitis
川人 豊
(京都府立医科大学大学院病院教授・免疫内科学)

▼定義

‍ クリオグロブリンは寒冷で凝集し,37℃以上の温度で再溶解する性質をもつ免疫グロブリンである.クリオグロブリン血症性血管炎は,クリオグロブリン血症による血管壁へのクリオグロブリン沈着や,血栓に加え補体の活性化で生じる免疫複合体性の小型血管炎である〔第9章「クリオグロブリン血症」の項も参照〕.

▼疫学

 男女比としては比較的女性に多く,50~60歳で好発する.

▼分類

 クリオグロブリンの組成からBrouetらが3型に分類した基準が,現在も使用されている.Ⅰ型(10~15%)は,モノクローナルIgGまたはIgMによるもので,原発性マクログロブリン血症や多発性骨髄腫にみられる.Ⅱ型(50~60%)は,モノクローナルIgM(主にリウマトイド因子)とポリクローナルIgGとの混合型で,その多くはC型肝炎によるもので,ほかに関節リウマチやSjögren(シェーグレン)症候群などの自己免疫疾患や血液悪性腫瘍で生じる.Ⅲ型(30~40%)は,ポリクローナルIgMとIgGによるもので,ウイルス・細菌感染症や自己免疫疾患で生じる.

▼診断

‍ Raynaud(レイノー)現象の原因となり,四肢(特に下肢)や耳介などの寒冷刺激部位に循環障害による網状皮斑,紫斑,潰瘍などの症状を呈する.Ⅰ型では血管炎は目立たず,チアノーゼや血管閉塞による皮膚壊疽がみられる.Ⅱ,Ⅲ型では,血管炎症状として,関節痛,筋肉痛,血尿や蛋白尿を伴う膜性増殖性糸球体腎炎(Ⅱ型に多い),末梢神経症状や腹痛,下血などの消化器症状が出現する.

 CRP,赤沈の上昇などの炎症所見に加え,特に補体C4の低下,血中のクリオグロブリンの存在,皮膚生検による白血球破砕性血管炎,腎生検による補体やIgG,IgMの糸球体係蹄壁沈着を伴う膜性増殖性糸球体腎炎の有無を検索し,ほかの血管炎を除外することで診断する.

▼治療

‍ C型肝炎血液・自己免疫疾患など

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