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治療

3 反応性関節炎(ライター症候群)
reactive arthritis(Reiter's syndrome)
牧野 雄一
(旭川医科大学教授・医育統合センター)

▼定義

 反応性関節炎(reactive arthritis:ReA)は,関節以外の臓器で起こった感染症の直後(1~3週後)あるいは経過中に発症した急性の無菌性の関節炎である.従来Reiter(ライター)症候群とよばれていた疾患は,現在ではReAに包括される.

▼病態

 先行する感染症の多くは,細菌性腸炎や尿道炎であり,Salmonella属,Shigella属,Yersinia属,Campylobacter属,Chlamydia属などの微生物が関連することが知られている.関節炎は,非対称性の単関節もしくは少数関節炎である.膝,足関節などのほか,足趾,手指関節にも現れ,指趾炎を呈する.腱付着部炎,仙腸関節炎を伴う場合も多く,脊柱関節炎に分類される.手掌や足底の膿漏性角化症,無痛性の連環状亀頭炎のほか,無菌性の尿道炎,無痛性の口内炎などの皮膚粘膜病変,結膜炎,虹彩炎などの眼症状を合併する.

▼疫学

 細菌性腸炎に起因するものでは男女約同数であるが,尿道炎に起因するものでは男女比は5:1で若年男性に多いと報告されている.ReA発症とHLA-B27には関連がある.

▼診断

 リウマトイド因子,抗核抗体は通常陰性である.CRP陽性,赤沈亢進を示す.HLA-B27陽性は診断に必須ではない.急性期であれば,便培養,尿や尿道分泌液の培養,PCRなどによって原因微生物の同定を試みる.X線検査では,病初期には異常を認めない.慢性化例では腱付着部炎に伴い骨膜反応,骨化を認め,骨びらん,片側性の仙腸関節炎なども認められる.MRIは仙腸関節,脊柱関節炎の検出に優れるが,ReAに特異的な病変とはいえない.パワードプラエコーによる腱付着部炎の描出は関節リウマチにおける同病変との鑑別を必要とする.

▼治療

 本症は,感染後に発症する関節炎であり,抗菌薬はすでに無効であるとする複数の臨床試験がある.一方,再発を繰り返す感染

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