疾患を疑うポイント
●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.
●全身性の発熱がみられ,関節局所の腫脹・発赤・熱感・疼痛がみられる.
●先行する感染がみられる.
学びのポイント
●関節リウマチ,痛風や偽痛風など関節炎をきたす疾患との鑑別が重要である.
●早期に診断して治療を行わないと,週単位で不可逆的な関節破壊をきたして機能障害が残る.重症化すると死亡することもある.
▼定義
病原体感染に起因する関節炎.
▼病態
急性に発症し,関節炎と発熱を呈する.弱毒菌では慢性に経過することもある.創部から直接関節に感染が及ぶものや,先行する感染症に続発するものなど感染経路はさまざまである.
▼疫学
小児~高齢者のいずれの年齢でも発症し10万人/年あたり数人程度と推定されている.
▼分類
細菌性(化膿性),抗酸菌性,真菌性がある.
▼診断
関節炎と発熱がみられると疑う.関節液培養によって病原体を同定することが重要である.
➊関節炎症状の確認
関節に炎症徴候である腫脹・発赤・熱感・疼痛と運動制限がみられる.発熱がみられることが多いが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)・抗酸菌・真菌による関節炎では発熱がみられないこともある.
➋病歴聴取
糖尿病,低栄養状態,免疫抑制状態などの日和見感染のリスク因子の有無を確認する.
➌画像検査
単純X線撮影像において,急性期では軟部組織陰影の腫脹や関節腔の拡大がみられる.感染が長期化すると関節裂隙狭小化,骨破壊像がみられる.
造影CT,MRI(short tau inversion recovery:STIR)は病変の範囲を確認するのに有用である.
➍採血検査
CRP高値,白血球数増加と好中球数増加,赤血球沈降速度の亢進がみられる.細菌性では血清プロカルシトニン高値,真菌性では血清β-D-グ