診療支援
治療

4 感染性関節炎
infectious arthritis
門野 夕峰
(埼玉医科大学教授・整形外科学)

疾患を疑うポイント

●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.

●全身性の発熱がみられ,関節局所の腫脹・発赤・熱感・疼痛がみられる.

●先行する感染がみられる.

学びのポイント

●関節リウマチ,痛風や偽痛風など関節炎をきたす疾患との鑑別が重要である.

●早期に診断して治療を行わないと,週単位で不可逆的な関節破壊をきたして機能障害が残る.重症化すると死亡することもある.

▼定義

 病原体感染に起因する関節炎.

▼病態

 急性に発症し,関節炎と発熱を呈する.弱毒菌では慢性に経過することもある.創部から直接関節に感染が及ぶものや,先行する感染症に続発するものなど感染経路はさまざまである.

▼疫学

 小児~高齢者のいずれの年齢でも発症し10万人/年あたり数人程度と推定されている.

▼分類

 細菌性(化膿性),抗酸菌性,真菌性がある.

▼診断

 関節炎と発熱がみられると疑う.関節液培養によって病原体を同定することが重要である.

関節炎症状の確認

 関節に炎症徴候である腫脹・発赤・熱感・疼痛と運動制限がみられる.発熱がみられることが多いが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)・抗酸菌・真菌による関節炎では発熱がみられないこともある.

病歴聴取

 糖尿病,低栄養状態,免疫抑制状態などの日和見感染のリスク因子の有無を確認する.

画像検査

 単純X線撮影像において,急性期では軟部組織陰影の腫脹や関節腔の拡大がみられる.感染が長期化すると関節裂隙狭小化,骨破壊像がみられる.

 造影CT,MRI(short tau inversion recovery:STIR)は病変の範囲を確認するのに有用である.

採血検査

 CRP高値,白血球数増加と好中球数増加,赤血球沈降速度の亢進がみられる.細菌性では血清プロカルシトニン高値,真菌性では血清β-D-グ

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