診療支援
治療

3 X連鎖リンパ増殖症候群
X-linked lymphoproliferative syndrome(XLP)
金兼 弘和
(東京医科歯科大学寄附講座教授・小児地域成育医療学)

▼定義

‍ Epstein-Barr(エプスタイン-バー)virus(EBV)に対する特異的免疫応答の欠陥を有する原発性免疫不全症であり,XLP1とXLP2が存在する.

▼病態

 SAPはT細胞のSLAMやNK細胞の2B4の細胞内ドメインと結合し,T細胞やNK細胞における細胞傷害活性を亢進させる.SAPが欠損するXLP1ではEBV感染B細胞を排除できず感染細胞の異常増殖が引き起こされる.

 XIAPはNFκB経路やMAPK経路の活性化を担っており,XIAPの異常によりNOD1/2を含む自然免疫系の調節障害の結果,サイトカイン産生に異常をきたし,血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH),炎症性腸疾患などの病態が形成される.

▼分類

 XLP1とXLP2の原因遺伝子はそれぞれSAPをコードするSH2D1AとXIAPをコードするXIAPであり,いずれもX染色体長腕Xq25に隣接して局在する.

 XLP1とXLP2のほかにEBV関連リンパ増殖症を発症する原発性免疫不全症としてITK欠損症,CD27欠損症,MAGT1欠損症などがある.

▼診断

臨床症状

 臨床症状は多彩であって,EBVによる致死的伝染性単核症,HLH,低ガンマグロブリン血症が特徴である.XLP1では,その他に悪性リンパ腫,再生不良性貧血,血管炎などが認められ,XLP2では,脾腫や炎症性腸疾患が高頻度に認められる.

身体所見

 HLHを発症すると,高熱,肝脾腫が認められる.

検査所見

 HLHを発症すると,汎血球減少,肝障害,凝固障害,骨髄での血球貪食像が認められる.EBV感染の既往が明らかでなく,低ガンマグロブリン血症を呈するXLP1も存在する.

確定診断

 確定診断はSH2D1AまたはXIAP遺伝子解析による.フローサイトメトリーによるスクリーニングも有用である.

▼治療

 致死

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?