【疾患概念】
外傷性ショックは一般的には外傷により発生したショックが想起される用語である.救急医学会のウェブサイト上の医学用語解説集によると,「ショック」は生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果,重要臓器の血流が維持できなくなり,細胞の代謝障害や臓器障害が起こり,生命の危機に至る急性の症候群とされている.したがって外傷に伴う大量出血により重要臓器の血流が維持できないものを外傷性ショックと考えるのが妥当であろう.
【病型・分類】
ショックはその成因により表2-1図のように4つに分類される.
外傷に伴って発生するショックはほとんどの場合,大量出血に伴う出血性ショック(循環血液量減少性ショック)である.米国外科学会(American College of Surgeons)による出血性ショックの重症度分類を表2-2図に示す.出血量に応じてバイタルサインの変化も異なる.循環動態の変化とし