【概説】
アスリートのうち,約75%は競技人生の中で少なくとも1回は腰痛を訴えるとされている.これはスポーツ活動中の脊椎の屈曲・伸展動作の反復が関与すると考えられている.疼痛の原因部位としては椎体終板,椎間板,椎間関節,仙腸関節,神経根などが挙げられる.アスリートの最終目標は疼痛がない状態でできるだけ早く復帰することであり,適切な治療を行うためにも早期に正確な診断を行うことが求められる.アスリートの腰痛は,特異的腰痛から非特異的腰痛に至るまで,病態はさまざまである.非特異的腰痛は,種々の画像検査を行っても診断不能な原因不明の腰痛の代名詞として使われることがあるが,本来の意味は,画像診断を急ぐ必要のない腰痛の総称であり,アスリートの疫学・患者背景を考慮すると,ほとんどの症例は特異的腰痛として扱われるべきものである.
問診で聞くべきこと
腰痛の発症時期,罹患期間,発生の状況(外傷の有無),スポー