【疾患概念】
10万種以上存在する真菌のうち,約150種がヒトや動物に対して病原性をもつといわれている.整形外科領域の真菌感染症では,カンジダ属が起炎菌として最も頻度が高く,次いでアスペルギルス属,クリプトコッカス属が多い.真菌感染の原因として血行性感染が多いが,関節穿刺や手術も少なくない.無症状のものから急速に組織破壊をきたすものまで症状は多様であり,無症状の場合には診断に難渋することが多い.炎症性マーカーは正常または軽度上昇であることが多い.診断は培養検査による真菌の同定が基本となる.
【病態】
カンジダは皮膚,口腔,消化管,生殖器,土壌,植物などさまざまな環境のなかに常在しており,中心静脈栄養,抗菌薬使用,外傷,関節内注射,免疫不全状態などさまざまな要因によって感染をきたす.細菌感染に比べて緩徐な経過を示すことが多く,炎症所見が乏しい.カンジダによる骨髄炎は,血行性感染が約70%,直接感染が25%といわれる.罹患部位として脊椎,次いで大腿骨,肋骨,胸骨が多い.一方,カンジダによる化膿性関節炎の頻度は非常に少ない.罹患部位として膝,股,肩関節が多く,大部分が血行性感染であるが,外傷や関節内注射などによる直接感染も生じる.起炎菌としてC. albicansが半数以上であり,ほかにC. glabrata,C. tropicalis,C. parapsilosisが多い.また,血液培養での陽性率は30~50%程度であり,診断に難渋することも少なくない.カンジダは消化管や上気道などに定着している常在菌であるため,培養検査で陽性であってもコンタミネーションの可能性を念頭におく必要がある.
アスペルギルスは土壌や植物などに存在しており,鼻腔,呼吸器,中枢神経系に感染することがある.アスペルギルス感染をきたす要因として,免疫抑制状態,中耳炎・副鼻腔炎,肺疾患が挙げられる.アスペルギルス
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