【疾患概念】
骨内に発生する良性骨腫瘍にはさまざまなものがあり,それぞれに臨床的特徴がある.また単純性骨嚢腫のように,腫瘍性病変とするには疑義があるものも存在し,腫瘍類似疾患として長らく分類されてきた.表5-5図に,日本整形外科学会の全国骨腫瘍登録一覧表(2015年)から抜粋した,良性骨腫瘍と腫瘍類似疾患の発生数を示す.腫瘍類似疾患が病理学的に腫瘍でないのかどうかは,その疾患ごとにさまざまな意見がある.
【臨床症状】
良性骨腫瘍は無症状のことも多く,打撲や捻挫に対する単純X線検査で偶然発見されることも多い.しかし類骨骨腫や軟骨芽細胞腫のように痛みを主訴とする疾患もあり,疾患ごとに特性がある.
問診で聞くべきこと
骨腫瘍の家族歴はないか(多発性骨軟骨腫症では常染色体優性の遺伝形質を示す),病変部に痛み(自発痛,圧痛)はないか,骨関節の変形・腫脹や可動域制限はないか,皮膚色素斑はないか(Albri