診療支援
治療

デスモイド型線維腫症
Desmoid-type fibromatosis
朴木 寛弥
(奈良県立医科大学 教授(骨軟部腫瘍制御・機能再建医学))

【疾患概念】

 デスモイド型線維腫症(以下,デスモイド)は,WHO腫瘍分類では局所浸潤性に富むが遠隔転移はきたさない,いわゆる中間型に分類される(筋)線維芽様細胞増殖性の軟部腫瘍である.年間発生頻度は100万人あたり2~4人とされ,APC遺伝子変異による家族性大腸腺腫症に伴い腹腔内に多く発生するデスモイド(Gardner症候群)と,主にβ-catenin遺伝子(CTNNB1)変異を基盤として腹腔外に多く発生するデスモイドに分類される.

【病態】

 腹腔外デスモイドの典型例では,深在性で辺縁がやや不明瞭な硬い腫瘤として触知し,痛みを伴うことも多い.好発部位は肩甲帯,胸腹壁,骨盤部・四肢などで,思春期から若年成人期の女性に多い.多中心性に発生したり,近接関節障害や神経圧迫症状を呈する場合もある.手術後の再発率がきわめて高く(20~70%),再発例で急増大を示すものもあり,その治療には慎重を要する.


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