診療支援
治療

未分化多形肉腫
Undifferentiated pleomorphic sarcoma
髙木 辰哉
(順天堂大学 先任准教授)

【疾患概念】

 組織起源が不明の多形性悪性軟部腫瘍は,1963年にStoutらが悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma;MFH)として提唱した.しかし,その後組織球由来ではなく,未分化な間葉系細胞からの発生であるとされ,2013年のWHO分類からは,未分化・分類不能肉腫(undifferentiated/unclassified sarcomas)の名称となっている.未分化多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma;UPS)はそのうちの1つであるが,未分化・分類不能肉腫と同義として使用されることが多い.軟部と骨の両者に診断名として存在し,軟部では,これまでMFHあるいはUPSと診断されてきた肉腫が,多形性平滑筋肉腫,脱分化型脂肪肉腫,高悪性度粘液線維肉腫などに分類される傾向にある.骨は,WHO分類では未分化高悪性度多形肉腫(undifferentiated high-grade pleomorphic sarcoma of bone)の名称となっている.

【病態】

 軟部発生・骨発生のいずれも40歳以上の壮年から高齢者に多く発生し,男女差はほとんどない.軟部UPSの頻度は,病理診断方法によって多少の差がみられ,原発性悪性軟部腫瘍の15~25%程度で,大腿部などの四肢と体幹部に発生する.骨UPSは原発性悪性骨腫瘍の2~5%程度とされ,四肢長管骨の骨幹端,骨幹部,骨盤などに発生することが多い.


診断のポイント

 軟部UPSでは,数か月程度で増大傾向を示す無痛性の腫瘤が多く,弾性硬の腫瘤として触知される.大きさは長径で3cmを超えるものが多い.MRIでは内部の信号が不均一で,造影でも不均一に描出されることが多い.骨UPSは疼痛や腫脹で来院し,単純X線で骨破壊を示す.がんの骨転移と鑑別困難な場合もある.MRIで

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