細胞分裂など,正常細胞にもみられる普遍的な細胞の活動を阻害する細胞障害性抗がん剤に対し,各疾患の病態特異的に生じている分子を標的とし,それらを阻害することにより病状の改善を目指す薬剤のことを分子標的治療薬という.他領域で目覚ましい発展をみせている分子標的治療薬であるが,骨・軟部腫瘍領域では2剤が国内で保険収載されている.1剤は「悪性軟部腫瘍」に対するパゾパニブ薬(ヴォトリエント®)であり,もう1剤は「多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変」と「骨巨細胞腫」に対するデノスマブ薬(ランマーク®)である.
パゾパニブは,血管内皮増殖因子と血小板由来増殖因子に対するチロシンキナーゼ阻害薬である.第Ⅲ相試験であるPALETTE試験において脂肪肉腫を除く悪性軟部腫瘍に対して,プラセボの無増悪生存期間中央値が1.6か月であったのに対し,パゾパニブでは4.6か月であり,3か月の延長が示さ
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/パゾパニブ塩酸塩《ヴォトリエント》
- 治療薬マニュアル2024/デノスマブ(遺伝子組換え)《ランマーク》
- 治療薬マニュアル2024/ゾレドロン酸水和物《ゾメタ》
- 治療薬マニュアル2024/デノスマブ(遺伝子組換え)《プラリア》
- 今日の治療指針2024年版/オビヌツズマブ(遺伝子組換え)
- 今日の治療指針2024年版/トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物
- 今日の治療指針2024年版/ニボルマブ
- 今日の治療指針2024年版/悪性黒色腫
- 臨床検査データブック 2023-2024/ALK融合蛋白 [保] 2,700点
- 今日の整形外科治療指針 第8版/トピックス 悪性骨・軟部腫瘍に対する免疫療法