1.関節リウマチの病態・疫学・診断
関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は,自己免疫反応を背景に関節滑膜に炎症が生じ,慢性,時に急性の経過で関節破壊に至る全身性炎症疾患である.日本における患者数は推定60~70万人とされている.男女比は1:4~6で,発症年齢は10~80歳代までと幅広いが,好発するのは30~50歳代の女性である.発症原因には遺伝的要因があるとされるが,一卵性双生児がともにRAを発症する確率は15%程度であり,発症のすべてを遺伝子で説明することはできない.近年,喫煙と歯周病がRAの発症要因として注目されている.
RA治療の原則は,不可逆的な関節破壊や身体機能障害が生じる前に治療介入し,RAの病勢を十分に抑えることであり,そのためには早期診断が必要となる.RAを診断するために最も大切な点は,「関節腫脹を伴う関節痛があればRAの可能性を念頭におく」ということ,言い換えれば,疑わなければ診断できないということになる.随伴症状として,朝の手のこわばりや対称性の関節腫脹,リウマトイド結節といった症状があれば,さらに強くRAを疑うことになる.リウマトイド結節はRAを診断するうえで特異性が高く,これだけでRAと診断できる重要な身体所見である.
RAを疑えば,「関節リウマチ分類基準」に照らして診断を進める(図6-1図).診断は,①少なくとも1か所の関節で関節腫脹(滑膜炎)を認めること,②その原因としてRA以外の疾患の可能性を否定できることの2点が大前提となる.関節滑膜炎を確認するために,付加的に関節エコーや核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging;MRI)などの画像診断を用いることもできる.注意すべき点は,関節痛だけではRAと診断することはできないという点である.
「RA以外で説明できない関節腫脹がある」と確認できれば,ス
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