診療支援
治療

関節リウマチの薬物療法
Drug therapy for rheumatoid arthritis
亀田 秀人
(東邦大学 教授(膠原病学))

1.薬物療法の考え方

 抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drugs;DMARDs)は,関節破壊やそれに伴う身体機能の不可逆的低下を抑制することで関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の自然経過を修飾しうる薬剤の総称であり,関節痛を緩和するものの上記の作用が認められない非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)と対比するために導入された用語である.グルココルチコイドにも同様の作用があるが,慣例としてDMARDsには含まれない.DMARDsには従来型合成(conventional synthetic)DMARDs(csDMARDs),生物学的(biologic)DMARDs(bDMARDs),分子標的合成(targeted synthetic)DMARDs(tsDMARDs)がある.

 症状緩和のためにグルココルチコイドやNSAIDsを頓用あるいは半年以内の期間限定的に使用することは,リスク・ベネフィットバランスに鑑みて容認されているが,実際には結果的に長期使用となってしまい,後に有害事象が大きな問題となることも少なくない.


2.csDMARDs

 RAの診断後,通常は薬剤費も考慮して,比較的安価であるcsDMARDをすみやかに開始する.特に継続率が高いメトトレキサート(MTX,6~16mg/週,原則として葉酸製剤を併用し,肝障害,骨髄抑制,間質性肺炎,リンパ増殖性疾患に注意)が最も汎用される.MTXをはじめとしたcsDMARDs投与開始前に,副作用の危険因子の評価に必要な問診と診察,尿一般検査,赤血球沈降速度,CRP,末梢血検査(白血球分画を含む),一般生化学検査(AST,ALT,ALP,アルブミン,血糖,Cr,BUN),免疫血清学的検査,胸部

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