【疾患概念】
若年性特発性関節炎(JIA)は,16歳未満に発症し,少なくとも6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎である.近年では,治療や治療反応性に関して,①全身型と②関節型の大きく2つに分けて管理している.
【疫学】
有病率はわが国では小児人口10万人対10~15人であり,欧米の有病率と差異はない.しかし,発症病型ごとの頻度には差を認め,わが国では全身型とリウマトイド因子(RF)陽性多関節炎が多いことが判明している.
主要な発症病型別の性差と発症年齢のピークは,全身型(性差なし)1~5歳,少関節炎(男女比=1:3)1~2歳,RF陰性/RF陽性多関節炎(男女比=1:4)1~3歳と小児期後期で,少関節炎と多関節炎は女児に多い.
【病型・分類】
JIAの分類基準は国際リウマチ学会と世界保健機関の主導で1994年に提案され,引き続き1997年に修正された後に2001年の改訂に至っているが,その分類亜型には7病型がある(表6-5図).
問診で聞くべきこと
JIAは起床時から午前中にかけて,特定の関節に疼痛・熱感などの炎症症状が出現するため,痛みがいつ発現するか,罹患部位が移動するかを確認する.
診断のポイント
正確に診断する単一の検査方法は存在しないため,患児の訴える症状が,後述する特徴的な所見であること,それが他の疾患と鑑別されることから総合的に診断する.
全身型:弛張熱または間欠熱,リウマトイド疹,関節炎を主徴とする.しばしば,肝脾腫,リンパ節腫脹,胸膜炎,心膜炎を伴う.
関節型:関節の腫脹,疼痛(圧痛),熱感,発赤,可動域制限,朝のこわばりがみられる.関節炎が長期に及ぶと関節の変形や成長障害が出現し,患児の生活の質は著しく障害される.
治療
日本リウマチ学会はわが国の一般小児診療に携わる医師のために,JIAの適切な診断と標準的な治療について「初期診療の手引き2015」を刊行した.
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2023/メトトレキサート《メトジェクト リウマトレックス》
- 治療薬マニュアル2024/メトトレキサート《メトジェクト リウマトレックス》
- 治療薬マニュアル2024/トシリズマブ(遺伝子組換え)《アクテムラ》
- 治療薬マニュアル2023/カナキヌマブ(遺伝子組換え)《イラリス》
- 治療薬マニュアル2024/カナキヌマブ(遺伝子組換え)《イラリス》
- 治療薬マニュアル2024/エタネルセプト(遺伝子組換え)《エンブレル》
- 治療薬マニュアル2024/アダリムマブ(遺伝子組換え)《ヒュミラ》
- 治療薬マニュアル2024/アバタセプト(遺伝子組換え)《オレンシア》
- 臨床検査データブック 2023-2024/リウマチ因子〔RF〕《リウマトイド因子》 [保]*
- 新臨床内科学 第10版/6 若年性特発性関節炎
- 今日の治療指針2023年版/若年性特発性関節炎
- 今日の整形外科治療指針 第8版/高齢発症の関節リウマチ
- 今日の治療指針2023年版/若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)
- 今日の診断指針 第8版/全身性エリテマトーデス
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/関節症性乾癬
- 今日の診断指針 第8版/リウマチ性多発筋痛症
- 今日の診断指針 第8版/若年性特発性関節炎
- 今日の小児治療指針 第17版/若年性特発性関節炎